鍛接とはどのような溶接方法なのか?

2023/12/08 コラム

溶接の用語の中には「鍛接(たんせつ)」という加工があります。
刀の製造で古くから用いられていた技術であり、伝統的な溶接方法です。
今回は、鍛接がどのようなものか解説していきます。

▼鍛接
■歴史
日本では紀元前3世紀に鉄器が見つかっており、その頃からすでに鍛接が行われていたと考えらえています。
より広く使われるようになったのは、平安時代のことです。
平安時代末期までは貴重な金属だった鉄が、中国地方のたたら製鉄をきっかけに一般的なものとして普及し始めました。
それにより鉄製農具や武器の需要が高まり、鉄の加工や鍛接の技術がより発達していったのです。
日本各地の職人へと広まった鍛接は、破損した鉄製品の修復などにも応用され現在まで発展してきました。

■圧接による接合
鍛接は、2つ以上の金属をぴったりと密着させ鍛接剤を利用しながら熱と圧力で貼り付ける方法です。
圧接という手法の一種であり「沸かし付け」とも呼ばれています。
刃物の製造で用いられることが多く、刀鍛冶職人の間で長く継承されてきた技術なのです。

■役割
鍛接には、硼砂(ほうしゃ)と呼ばれる鍛接剤が使われます。
主な役割は、金属の間に入り込む余分な空気を防ぐことです。
空気があると酸化被膜ができてしまい、スムーズな接合が難しくなります。
高いクオリティの鍛接を行うには、接合面に硼砂をまぶし皮膜を防ぐ必要があるのです。

▼まとめ
鍛接は、刃物の他にも鋼管や鎖などの製造でよく使われる技法です。
接合面を溶かさずに貼り付ける方法として注目されており、昔ながらの技術が大切に守られています。
弊社では鍛接を学んだ職人が活躍しておりますので、加工が必要な場合はぜひご依頼ください。