TIG溶接の電流値の決め方

2022/06/09 コラム

溶接作業において、覚えておくべきポイントはいくつかあります。
初心者向けとされるTIG溶接においても、注意事項があるのをご存じでしょうか?
今回はTIG溶接における電流値の決め方について、いくつかお話しさせていただきます。

▼溶融池で決める
電力が高い時と低い時では溶融池の大きさが異なりますので、溶融池の大きさや形で決めましょう。
溶融池大きければ溶接棒はよく溶けてビードは太くなり、小さいと溶接棒が入れづらくビードは細くなります。
また単純にビードが太ければ電流値を下げ、細ければ電流値を上げるという方法で決めるのもひとつのやり方です。
もっとも分かりやすい方法ですが、しっかりと電流値を観察して調整を行いましょう。

▼厚みで決める
対象物の厚みを見て決める方法があります。

【目安】
・厚み 1t:電流値 25~60A
・厚み 3t:電流値 60~100A
・厚み 6t:電流値 80~130A
・厚み 10t:電流値 130~190A

大まかにこの数値に合わせ、微調整を行います。
電流値を厚みで覚えておくと、作業がスムーズです。
感覚で身に付ける事で、効率よく設定ができるでしょう。

▼溶接棒の太さで決める
対象物の厚みと同様に、溶接棒の太さによっても電流値を決めておくと良いでしょう。

【目安】
・太さ 1.2mm:電流値 50A
・太さ 1.6mm:電流値 80A
・太さ 2.0mm:電流値 90A
・太さ 2.4mm:電流値 120A
・太さ 3.2mm:電流値 130A

あくまで目安なので、微調整を行いましょう。
溶接棒の溶け具合などを見ながら、調節を行うのがポイントです。
難しい電流値の設定ですが「溶融池」「厚み」「溶接棒の太さ」などを目安にして、設定を行うことも可能です。
目安を覚えて更に経験を積むことで感覚的に適切な電流値を決められると、作業をスムーズに進めやすくなります。